国語と日本語

皆さま、こんにちは。

KEC日本語学院新宿校の関です。これからの季節、日本はジメッとした毎日が続きます。いつも思うのですが、こういう気候に慣れていない外国人の方々にとっては、より一層厳しく感じるのではないでしょうか?慣れない環境で暮らすって、大変ですよね。中国留学(北京)時代、とにかく空気が乾燥していて、ただでさえ敏感肌の持ち主の私はとても大変だった記憶があります。

さてさて、今回は普段日本で暮らしている我々にはわかりにくい【国語と日本語の違い】について、ご紹介したいと思います。日本語を教えると聞いて、「日本語しゃべれるから、大丈夫でしょ?」と思ったりするのですが、いわゆる「国語教育」と呼ばれるものと、私たちが専門にしている「日本語教育」とは、大きな違いがあります。

まずは、「学習者の背景」。一般的に国語を勉強するのは小学校からですが、クラスのほとんどがほぼ同じ年齢で、同じ出身地。そして保育園や幼稚園から小学校へ進んでいます。このように、ほとんど同じ背景を持つ人たち相手に授業をしていくことになります。一方、日本語教育では、国籍や年齢も違うし、学歴、経歴もそれぞれ違います。日本語学校の多国籍クラスですと、同時に様々な背景を持つ学習者相手に授業をします。この点は、大きな違いと言えると思います。

そして、「学習を始める時」の違いです。国語の勉強を始める時、基本的には、学習の初めの段階から「聞ける/話せる」人たちが相手となります。先生が授業の最初に「おはようございます」と言えば、ほぼ全ての人が「おはようございます」と返してくれるでしょう。しかし日本語の勉強を始める人たちは、全く話せませんし、聞けません。先生が「おはようございます」と話しかけても、クラスのほんの数名しか「おはようございます」を知らない状態かもしれません。そんな全く「ゼロ」の状態の人たちに、言葉を教えていくのです。ですから、【日本語教師】には、専門性が求められるのです。日本語教師養成講座では、こういう「通じない人」に、どうやって日本語を教えていくか、という勉強をします。

他にも、「義務教育か、義務教育じゃないか」とか、「母語であるかどうか」とか、いろいろな違いがあります。国語と日本語、日本語教師の勉強をする際、まず押さえておいてほしいポイントの一つです。