生活者としての外国人のために

日本語教師養成校で学ぶ皆さんの就職応募先として、主に、国内の日本語学校、次に、介護、医療、コンピューターなど各種専門学校、技能実習講習を行う監理組合、研修生に日本語教育を施す必要がある企業、海外では、大学、高校、塾などがあります。

ところで、そのような教育機関にいらっしゃらない、外国人についてはどうでしょう。

家族と一緒に日本に入国したけれども、大学進学をめざす日本語学校に学ぶわけではなく、技能実習生として講習を受けるわけでなく、一緒に入国するお子さんのように、地域の学校、またはインターナショナルスクールにかようわけでもない外国人。

家族の就業などの理由で日本に入国してくるかたは、在住期間が明確にあるわけでなく、目的を持つにも決め手もなく、まとまった時間とお金を日本語習得にあてるメリットも感じられず、そのように、自ら動機付けをしにくい状態にいらっしゃいます。言葉がつかえない不便な状況がつづき、ストレスを抱えての生活になります。

例えば、皆さんが3年間のみ、家族の就業のため、フランスに同行する場合、そこの大学に行くという選択肢はまずないでしょうし、家事育児をしながら、もしくは就業者本人であれば働きながら、語学学校へ通うというのも非常に無理があります。例えば日本語学校であれば、毎日朝から夕方まで学校という生活ですが、留学生として赴任するのでない限り、かなり難しい選択になります。また、海外で就業なさる方は、自ら望んでその地に行くわけではない方もたくさんいらっしゃいます。

生活のために必要な言語習得について、時間、目的を考慮し、効果的に教えることができる教師が必要とされています。最適なシラバス、カリキュラム作成、多様な目的をすくいあげることのできる教師が少ない現状があります。

生活者としての外国人に必要な語学教育はどのようなものか。

日本語学校で、語彙・文法・文型をゼロから積みあげていく日本語教育との違いは何か、一度たちどまって考えてみるのはいかがでしょうか。

日本語教師の働き方は多種多様。現在外国人の入国制限が緩和され、実力ある日本語教師の争奪戦がはじまっていますが、実力ある教師は、上記にお話ししたように、留学生ではない、地域の生活者にも求められています。

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