日本語学習者から、日本文化について教えてくださいと言われたとき、あなたは、どれくらい日本についてお伝えすることができますか。
最近ちまたでよく耳にする言葉、SDGs(エス・ディー・ジーズ)
項目はたくさんありますが、その中に、
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
というものがあります。
学習者の質問は大まかなものから細かなものまで多種多様です。
大雑把に日本文化を教えてください、と聞かれたら、着物・漫画・アニメ・寿司など、その場で頭に浮かんでくるものを答えるかもしれません。
しかし、その後の会話はどのように続いていくでしょうか。
「着物はもっていますか?」
「もっていません。」
「そうですか。」
「漫画は好きですか?」
「はい。すきです。」
「何がおもしろいですか?」
「何でも好きです。」
「呪術廻戦はよみましたか。」
「いいえ。」
「七つの大罪はよみましたか。」
「いいえ。」
「・・・・。」
「寿司が作れますか?」
「いいえ。」
会話が続けば、学習者の会話力向上につながりますし、さらに日本に興味をもち、また、教えてくれる先生に対しても、尊敬のまなざしをむけてくれるかもしれません。
ところが、前述のように会話が途絶えてしまうと、モチベーションまで下げてしまうことになりかねません。
それでは、どのような話題であれば、会話をもたせつつも、文化をつたえることができるでしょうか。一例を挙げてみます。
「日本人はどのように寝るか知っていますか。」
「日本人はFUTONでねます。」
「はい。畳の上に布団を敷いて寝ます。」
「先生、アメリカにもFUTONがあります。」
「本当ですか。」
「はい。でも、私は、ベッドにシーツを敷いて、シーツの上にコンフォーターをかけて寝ます。」
「コンフォーターとはどんなものですか。」
「コンフォーターは布団とよく似ています。」
「先生も、布団でねますか。」
「私は、ベッドにシーツを敷いて、FUTONをかけて寝ています。」
「どうして畳で寝ませんか?」
「私の家には畳がありません。今の日本の家は、畳の部屋が減りました。それで、日本人もベッドを使うようになりました。でも、子供の頃は、畳に布団を敷いて寝ていました。起きたら、布団を干したり、たたんで、たんすに片づけます。大人になったら、仕事で忙しくて、布団を干す時間が減りました。」
「かたずけるのは大変ですね。」
「そうですね。ところで、ベッドはいつ日本にきたか知っていますか。」
「最近ですか。」
「いいえ、奈良に行ったことはありますか。」
「いいえ。」
「奈良時代、とても昔に、日本人ベッドがきました。」
「へええ。」
「ヨーロッパの歴史では、正義のベッドというものを知っていますか。ヨーロッパは、ベッドの上で、政治をしていたんですよ。」
「ベッドの上で政治はできませんよ。」
「フランスのルイ14世はベッドを48台も持って、ベッドの上で政治をしていたそうですよ。」
このように、話は延々と続いていきます。
SDGsは最近よく耳にする言葉ですが、これらの項目には、身近な住まいや、人、環境等が含まれており、日本人がそれらをどのように使用したり、考えたりしているのかを伝えるのにもってこいです。学習者にとっても、もちろん馴染みのあるもので、話しやすく、そこへ、歴史を織り交ぜると、対比から共通事項の発見、そして、お互いの未知の知識へとつながり、会話がより深くおもしろいものへと展開していきます。
先生は、学習者より、ほんの少しだけ興味をもって、先に、話題の下調べをしておくと、より、会話はおもしろくなります。
また、この会話の中で、未習語彙、未習文型があれば、そこからトレーニングも開始できます。
話題シラバスで、話題にお困りでしたら、是非、SDGsを用いてみて下さい。