日本語教師の授業

こんにちは。KEC日本語学院新宿校の関です。

国家資格「公認日本語教師」の創設に向け、日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議が開催されています。私も毎回傍聴させていただいています。そこで現在議論されているのが、「日本語教育機関の類型化」についてです。「留学」「就労」「生活」という3つの大枠に分けるということなのですが、なかなか大変そうです。

ということで、私も意見は色々ありますが、難しい話はおいといて…

 

この類型化にも関係してくると思いますが、日本語教師という人は具体的に何をする人たちなのでしょうか?

「日本語を教える」のが日本語教師、ということですが、それだけだったら、教科書や参考書で、独学で勉強できそうな気がしませんか?

もちろん、日本語の授業の中では言葉の意味や文法のルール、そして動詞や形容詞の活用の形などをきちんと教えます。でも、日本語の授業における教師の腕の見せ所はここではありません。

 

じゃあ、その覚えた言葉や表現を使う場面ってどんな場面?この気持ちを伝えたい時は、どう言う?こんな気持ちの時、どう言えばいい?と、日本語を勉強している人たちがその言葉を使う(使いたくなる)であろう場面を紹介し、授業をしていきます。我々はこれを「場面設定」と言います。日本語教師は、勉強している人が遭遇しそうな状況を想像して授業を組み立てていくのです。

ここで大事なことは、「勉強する人のことを考える」ことです。勉強する人が実際に遭遇しそうな場面をきちんと提示できるかできないか、が授業のわかり易さに直結します。よく教師が自分の経験をもとに授業をすることもありますが、その場面がかけ離れていると、わかりにくい授業ということになってしまいます。

 

留学生のクラス授業でオフィス内の会話を紹介する。

日本人と結婚されて日本で生活している人に大学の場面を紹介する。

小さい子供に買い物の場面を紹介する。

 

別にダメ、ということではないのですが、あまり遭遇しそうにない場面だと、イメージしにくいです。

 

留学生だったら、アルバイトの場面

生活者だったら、市役所の手続きの場面

子供だったら、友達と遊んでいる場面

 

など、教える相手によって授業の構成を考えてほしいと思います。そうすることで実際にその言葉、表現が使えるようになり、日本語を使って「できること」が増えて来ます。この「できること」を増やしてあげるのが、日本語教師だと思います。

そのためには、まず教える相手のことに興味を持ってほしいです。普段どんな生活をしているのかな?どんなことに興味を持っているのかな?好きな食べものは何かな?など、少しずつ、授業の中で情報を集めていきます。「ワンピース」は人気がある漫画(アニメ)です。でも、日本人でもそうですが、全員が興味を持っているわけではありません。授業で紹介したけれど「見たことない」と言われてしまったら…。ですので、場面設定は、2つか3つ、用意しておいた方が無難です。私は授業の際は、5つぐらい紹介しちゃいます。どれか1つの場面でも「うん!!!」ってのがあれば、それでわかってもらえるからです。

最後はちょっとテクニックっぽい話になってしまいましたが、とにかく、教える相手のことを見て、その人にとって必要なことを教えてあげるというのが大事だと思います。